PR会社との契約を検討する際、「どの契約形態が自社に合うか」は多くの広報担当者が直面する課題です。中でも主流となっているのが、中長期で伴走する「リテーナー契約」。
本記事では、リテーナー契約の業務内容・メリット・留意点に加え、スポット契約/成果報酬型/アドバイザリー契約との違いまで整理して解説します。
リテーナー契約は、月額固定料金でPR会社から継続的な広報支援を受けられる契約形態です。スポット案件とは異なり、中長期的なパートナーシップを前提とし、企業の「専属広報チーム」として機能します。
主な業務内容は、年間広報戦略の策定・遂行、プレスリリースの企画・制作・配信、記者とのリレーション構築、危機管理対応、KPIの進捗管理、SNS運用支援など多岐にわたります。
社外広報部として日常業務から緊急対応まで一貫して支援し、企業のブランド価値を計画的に高める仕組みです。
継続的な支援により、PR会社が企業の事業内容やブランド特性、業界動向を深く把握するため、一貫性のある戦略立案・実行が可能になります。また、緊急時の対応力に優れ、突発的なリスク事案にも迅速な対応が期待できます。
さらに、PR会社が持つ媒体担当者とのネットワークや知見、過去の事例を活用でき、専門メディアでの露出を安定的に目指せます。
短期施策では得られにくい長期視点でのブランド資産形成や、社内広報担当者の育成、ステークホルダーとの関係強化など、事業成長に寄与する多面的な価値を提供します。
業務量の増減に関わらず毎月の固定費用が発生するため、広報活動が落ち着く時期にはコストパフォーマンスの検討が必要になる場合があります。そのため、期待する成果との乖離を防ぐためのKPI設定や定期的な評価が重要です。
また、組織規模によっては月額費用が固定費として負担となり、社内リソースとの役割分担が課題となるケースも想定されます。事前の役割分担と契約範囲の明確化が、円滑な運用のポイントです。
| 契約内容 | 主な内容 | 報酬の発生タイミング | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| リテーナー | 毎月固定料金で戦略広報、プレスリリース作成・配信、メディア対応、危機管理など継続支援 | 月末締め・翌月払い(固定) | 長期戦略実行、緊急即対応、コスト予測容易、深い企業理解 | 業務量少なくても固定費発生、途中解約困難 |
| スポット | 新商品発売、イベント、危機対応など単発プロジェクトのPR実行 | プロジェクト完了後 | 必要な時だけ利用、初期投資低い、柔軟性高い | 継続性欠如、企業理解浅い、緊急時割高 |
| 成果報酬 | 掲載やPV数に応じた成果ベースのPR支援 | 成果発生後(掲載確定時など) | 成果報酬でリスク低、費用対効果明白 | 成果保証なし、メディアコントロール不可、高額化リスク |
| アドバイザリー | 広報戦略構想・コンサルティング中心、実行は社内実施 | 定期固定または時間 | 専門知識の活用、内製力の向上、客観的な視点 | 実行力不足、成果遅延、社内体制構築が必要 |
単発のプロジェクト(製品発売・イベント広報など)に特化した依頼形態です。プロジェクトの完了に合わせて費用が発生します。
必要なタイミングでコストを抑えて利用できる柔軟性が高い形式ですが、自社事業への深い理解を得にくい場合や、突発的な事態への対応に制約が生じる側面もあります。
メディア掲載数やPV数などの実績に応じて費用が確定する体系です。掲載が確認された後に支払いが発生します。
費用対効果が明確で初期リスクを抑えられますが、媒体側の判断に委ねられるため露出の確実性が保証されず、掲載内容によっては想定以上のコストが生じる可能性も考慮する必要があります。
戦略の構築やコンサルティングを主軸とし、実務は自社内で行う契約形態です。定額または稼働時間に基づいた対価が発生します。
専門知識に基づいた助言を得られるため、広報の内製化やスキルの向上が期待できますが、実行のリソース不足により施策が遅延する場合もあり、強固な社内体制の構築が求められます。
リテーナー契約の成功のポイントは、業務範囲の明確な定義です。プレスリリース期限、メディアコンタクト、掲載目標、危機管理対応範囲、報告頻度などを数値・具体的に契約書に記載。月次レビューで進捗確認と調整を実施します。
これにより期待値を確保し、PR会社のリソースを活用。戦略検討から実行、分析まで一気通貫の成果を高め、長期的なブランド価値向上を実現します。
契約期間の柔軟性確保が活用の鍵です。通常は期間縛りがあるため、1〜2か月の予告期間で解約可能な条項を必ず入れましょう。業務量に応じた自主変動制や成果連動型オプションも検討。
PR会社の確保が容易になり、当面のミスマッチにも対応可能に。定期的な成果評価会議でKPI達成度を測定し、早期改善や契約見直しでコストパフォーマンスを維持します。
明確なKPI設定が継続的な成果を生みます。メディア掲載数、PV数、SNSエンゲージメント率、認知度調査結果などを月次で測定。定量・定性両面から効果を評価し、次月戦略に反映するPDCAサイクルを構築します。
PR会社との月1回進捗会議を契約義務として確定し、共有課題と改善提案を迅速化。小規模企業でも負担感なく効果を実現でき、長期的に伴走関係を強化します。
リテーナー契約は、戦略の継続性に優れ、中長期的なブランド構築に寄与する形態です。一方で、スポット契約は製品発売やイベントなどの短期集中施策に、成果報酬型は費用対効果を重視した柔軟な運用に、アドバイザリー契約は社内体制の強化に適しています。
事業フェーズや予算、リソースに応じて最適な契約を選択し、明確な指標(KPI)の設定と定期的な評価を通じて施策の精度を高めることが重要です。状況に応じて複数の形態を組み合わせ、柔軟な広報体制を構築しましょう。
目的別にPR会社の強みを比較し、適切なパートナーを選べるように整理しました。

ブランドの価値や利用シーンを社会に届け、生活者の共感と行動を生む状態を根づかせる。
生活者のエンゲージメントをゴールに据え、施策策定からマス・SNS・イベント実行までをワンストップで伴走。
メディア・タレント・行政・専門家に売り込むのではなく、共に話題の起点をつくれる、創業40年で築いた関係性。多業種の実績が裏づける戦略設計力で、露出で終わらせず自然に生活者へ浸透させる。

企業のリスクを事前に見極め、不測の事態でも事業を安定して継続できる体制を整える。
世論・政策・業界ルールを読み解き、危機管理から、ESG・制度改正・トップ広報まで、リスク局面で必要な判断と対応を総合支援。
電通グループの国内外ネットワークと専門家の知見を結集。行政・業界団体・海外拠点など複雑なステークホルダー環境でも、企業が安全に事業を進められる統合的なリスクマネジメントを提供する。

デジタルツールと拡散力を武器に、露出を起点にした認知拡大や話題化をスピーディに実現。
ニュースやSNSでの話題をデータと結びつけ、拡散経路・反応・波及度を数値で可視化しながらPDCAを回す。
自社グループにPR TIMESをはじめとする多様なデジタルツールを保有し、配信から効果測定まで一気通貫で運用。データに基づく拡散テーマの設計と、露出の量・経路・反応の数値把握に強みを持つ。
【事例参照元】
サニーサイドアップ:GROOVE X『LOVOT』(https://www.ssu.co.jp/works/2019/08/07/2846/)
LOVOT受賞歴:GROOVE X『LOVOT』公式(https://lovot.life/prize/)2019~2020年受賞
サニーサイドアップ:ジールス『ZEALS』(https://www.ssu.co.jp/works/2026/03/30/6257/)
電通PRコンサルティング:電機メーカー(https://www.dentsuprc.co.jp/ourwork/0030/)
電通PRコンサルティング:精密機器メーカー(https://www.dentsuprc.co.jp/ourwork/)
ベクトルグループ:島根県(https://recruit.vectorinc.co.jp/work/case-study/oKYyw)
観光消費額:島根県【PDF】(https://www1.pref.shimane.lg.jp/tourism/tourist/kankou/chosa/kanko_dotai_chosa/R2kankodotai.data/02.tyousakekkagaiyou.pdf)令和2年時点
ベクトルグループ:JOYSOUND(https://recruit.vectorinc.co.jp/work/case-study/8Qy6C)